握手で主導権を取れ
ビジネスの場面では、相手との距離を縮めるために、握手をすることがあります。日本人は、握手に対してあまり積極的ではありませんが、顔をニコニコさせながら握手を求められて悪い気はしません。
握手をする意味のひとつに、心理学でいう相手のパーソナルスペースに入ることがあります。パーソナルスペースとは人それぞれが感じる自分の縄張り意識の領域のことを指します。例えば、満員電車の中で見ず知らずの人と触れ合うのはできるだけ避けたいものです。それは、自分のパーソナルスペースに他人が入ってくることを嫌がっているからです。
アメリカの文化人類学者であるエドワード・ホールは、このような相手と関係と距離感を次の4つに分類しています。
● エドワード・ホールが分類する「4つの距離帯」
① 密接距離(intimate distance) :0cm~45cm
ごく親しい人のみに許されるが、それ以外の人がこの距離に近づくと不快感を感じる。
② 個体距離(personal distance) :45cm~120cm
ふたりが手を伸ばせば相手に届く距離。友人同士の私的な会話を交わす際にとられる時など、少しくだけたような関係性を示す。
③ 社会距離(social distance) :120cm~350cm
身体に触れることはできない距離。ビジネスのあらまた場や上司と接するときにとられる。
④公衆距離(public distance) :350cm以上
講演会など公式な場での対面のときにとられる距離。講演者と聴衆のように、基本的にその相手とは顔見知りではないときにとられる。
握手は、② 個体距離のパーソナルスペースを自然に築くことになります。そうすることで、その相手との距離感をグッと縮めることが可能です。握手をするときも、3秒くらいしっかりとした握手で握ったほうが良いです。
そのようにして握られた相手はあなたに積極的な印象を持ち、好意的に受け止めてくれます。この最初の握手で信頼感を勝ち取ることで、会話の主導権を握ることも可能になります。
ビジネスの場面では、相手との距離感を縮め交渉を有利に進めるために、このような握手をする積極的な姿勢が重要になってきます。